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簿記1級と税理士試験(簿記論・財務諸表論)の違いと難易度を比較

簿記1級と簿記論の違い

日商簿記1級は、税理士試験の簿記論・財務諸表論の試験範囲の7~9割を学習すると言われています。

確かに、試験の「範囲」は大きな違いはありません。しかし、「難易度」や「深さ」が簿記1級と簿記論・財務諸表論ではレベルが違います。

日商1級は、簿記論・財務諸表論に含まれていない「工業簿記・原価計算」の範囲も学習します。
そして、10%程度の合格率は同じです。

それでも、簿記論・財務諸表論の方が難しいと私は感じました。日商1級との違いと難易度の比較をご紹介します。

関連:日商簿記1級の取得メリットは?

簿記1級と税理士試験の違いは?

簿記1級と税理士試験の内容は、似ているようで異なります。

簿記は会計だけを学ぶ

簿記1級は、2級まで勉強してきた内容の延長です。会計の理論や財務諸表の仕組みなどをより深く広く学びます。

税法に関しては、ほとんど学びません。

税理士試験は税法も学ぶ

税理士試験は「会計」も学びますが、メインは「税法」を学ぶ試験です。

というより、税法を学び計算する試験なので、税金計算の基礎となる会計の事は知っていて当然といった印象です。

税理士試験では5つの科目を合格しなければなりませんが、そのうち、会計科目は、簿記論・財務諸表論の2つ。
残りの3つは「税法」が占めており、税理士試験の勉強時間の多くは「税法」に割り当てられます。

その中でも法人税法や所得税法は特にボリュームが多く、受験生を苦しめます。税法を学ばない日商1級とは、試験で問われる内容や範囲が違います。

簿記1級と税理士試験の難易度を比較

合格点は、日商1級が70点、税理士試験は60点となっていますが、どちらも相対評価によって配点が決まり、実質上位10%が合格する試験です。

合格率は同じくらいだけど、難易度は違う

日商簿記1級は合格すると税理士試験の受験資格が与えられるため、税理士を目指す人の登竜門として受験する人も多いです。

つまり、日商1級の上位10%の「合格者」が税理士試験の「受験者」に含まれている場合も多く、同じ合格率10%でも、受験者のレベルが圧倒的に高い税理士試験の方が難しいと言えます。

税理士試験は、一つの科目で上位10%に達した猛者達が次の科目でまたさらに合格率10%のふるいにかけられる、異常とも言えるハイレベルな試験となっています。

試験の回数も違う

日商1級は年に2回試験があるのに対して、税理士試験は年に1回しか行われないのが恐ろしい。
一年間勉強して、本番でちょっとミスしたら、また一年間勉強に戻ります。厳しいですね・・

合格に必要な勉強時間を比較

大手の税理士講義学校の学習時間の目安は以下のように記載されています。

科目勉強時間
簿記1級700時間
簿記論450時間
財務諸表論450時間
法人税法600時間
所得税法600時間
消費税法300時間
相続税法450時間

・・など

仮に税理士試験の科目を全て一発で5科目取得できたとして簿・財・法・消・相の5科目で合計 2,250時間が目安ではありません。

税理士試験の学習時間の目安には、以下のような注意書きが書かれています。

※理論暗記に要する時間は個人差があるため含めておりません。

大事なことなので2回言います。

理論暗記に要する時間は個人差があるため含めておりません。

簿記1級と税理士試験の違い

ウソではありません。
ちゃんと書いてあります。
参考:TAC 税理士試験「科目別の学習時間のめやす

税理士試験は理論と計算の割合が50%ずつの科目が多く、特に法人税法・所得税法はボリュームが多いので1,000時間でも厳しいです。

1科目取るだけでも、日商1級より遥かに勉強時間がかかる。それが税理士試験です。

日商1級と簿記論の比較

この2つはよく比較されますね。
『日商1級で出題される商業簿記・会計学を勉強すれば、簿記論の試験範囲のうち9割程度は学習済み。』とも言われています。

詳しく違いや難易度を比較していきます。

関連:簿記1級の勉強時間の目安は?独学と通学でこんなに違いが・・

試験範囲の違い

簿記論は、税理士試験の中で唯一計算が100%の試験です。
会計の知識がないと計算ができませんが、会計の知識以上に試験で問われるのは「計算処理能力」ですね。

簿記論に関しては、会計の試験というよりもはや「計算の早打ち試験」といった印象を受けました。

一方、日商1級は「計算処理能力」も求められますが、「会計の知識」に重きを置いた試験です。

難易度比較

税理士試験の一つである簿記論は、簡単な試験ではありません。

試験に出題される問題・資料のボリュームを比較します。

  • 日商1級(商業簿記・会計学)は4ページ程度
  • 簿記論は20ページ程度

簿記論では、日商1級の商・会の4~5倍の枚数の資料、プリントが問題として出題されます。
まさに桁違いの難易度です。

試験時間は日商1級が1.5時間、簿記論は2時間。
簿記論では、少なくとも日商1級の2~3倍程度の計算処理能力が求められます。

日商1級と簿記論の違いまとめ

日商1級の商・会と簿記論は、確かに試験範囲こそ大きな違いはないかもしれませんが、求められる計算処理能力は桁違いです。

日商1級は頑張れば90点以上も狙える試験ですが、簿記論で9割取ることは不可能と言っていいでしょう。確実に時間が足りません。

私自身、日商1級の商・会は50点中、45点取って合格し、計算の正確さとスピードもかなりのレベルに達している自負がありました。

なので、「簿記論はひょっとしたら独学でも取得できるかも。」と思っていたのですが、過去問題を見た時に問題のボリュームと難易度の高さに唖然とし、圧倒されました・・。

『6割取れるもんなら取ってみろ!』と言わんばかりの、作成者の悪意すら感じる内容の問題でした。。

日商1級と財務諸表論の比較

財務諸表論は理論と計算が50%ずつの試験です。
日商1級の商・会は計算80%、理論20%くらいでしょうか。

詳しく違いや難易度を比較していきます。

関連:日商簿記1級の勉強時間と難易度

試験範囲の違い

税理士試験の中では、財務諸表論が最も日商1級の試験内容に近いように私は感じました。
(もちろん、難易度は財務諸表論の方が難しいですが・・)

日商1級合格直後であれば、理論をある程度暗記していると思うので、簿記論よりも先に財務諸表論を取る方が、暗記した内容がムダにならず効率が良いように思いました。

難易度比較

財務諸表論の理論は、例のごとく日商1級とは比較にならないほど難しいです。
日商1級や全経上級といった簿記検定試験では見たこともないひねりにひねった問題が、財務諸表論では出題されます。

日商1級の理論は覚えるのにかなり苦労した私ですが、最終的には9割以上の点数を取れるレベルまで覚えていましたし、『理論は絶対に点数を取れる。』自信がありました。
しかし、財務諸表論を合格する為にはさらに理論の「深~く理解」する必要がある、と身にしみて実感しました。

日商1級と財務諸表論の違いまとめ

計算50%、理論50%の財務諸表論は、日商1級に比較的近い試験内容なので、比較的とっつきやすいと思います。

個人的には、日商1級合格後に税理士試験を目指すのであれば、まずは財務諸表論から取るのがおすすめです。

また、毎年税理士を増やしすぎない為に官報調整はあると思っているので、理論問題は合格基準があいまいなのでいくらでも点数の調整ができてしまいます。

しかし、計算100%の簿記論では、点数の調整のしようがないと思うので、都市伝説とも言われる官報調整の対策をするのなら財務諸表論から税理士試験の受験科目をスタートして、最後に簿記論がベストのように思います。

※ただし、これは個人的な見解なので、ご自身のベストと思う方法で税理士試験を受けてください。

日商1級と税理士試験どっちから受けるべき?

『日商1級と税理士試験(簿記論、財務諸表論)、どっちから受けるべきか?』

という話をよく聞きます。

私個人の意見としては、まずは日商1級から受ける事をおすすめします。

まずは短期間で取得可能な日商1級から!

税理士は資格取得までに要する年数が非常に長く、5年以上かかることもザラにあります。
先に取れる資格はとりあえず取っておいた方が、今後の就職活動で何かと潰しが効くので、日商1級から先に取っておいた方が良いというのが私の考えです。

日商1級で学ぶ管理会計は実務でも役に立つ

日商1級の商業簿記・会計学と税理士試験は範囲が被っていて、工業簿記・原価計算(管理会計)は税理士試験と内容が全く関係がないと言われています。

言い換えれば、管理会計に関しては税理士試験よりも日商1級の方が深く学びます。

だからこそ、一般企業の就職を視野に入れると日商1級から取得した方がメリットが大きいと私は思います。
一般企業では、簿記論や財務諸表論は知名度が日商1級より低く、税理士試験の1/5という印象を持たれる事も多いと思います。

税理士一本で考えている場合でも、税理士試験とは被っていない日商1級の範囲(管理会計や工業簿記・原価計算)の知識は、税理士資格取得後も実務で役に立ちます。

今は自計化が進んでいるので、自計化した会計データを財務分析してコンサルティング業務で顧問料をもらう会計事務所も多いです。
財務分析は管理会計の知識が大いに役立ちます。

つまり、税理士試験では学ばない管理会計ですが、会計事務所や税理士事務所の実務で全く使わないというワケではないという事です。

まとめ

税理士の資格を持っていらっしゃる先生と話していても、管理会計に関しては日商1級レベルの知識でも十分通用します。
というか、税法は全く及びませんが、会計に関しては日商1級の知識さえあれば税理士の先生の話をほぼ理解することができます。

日商1級の資格としての評価も、事務所によっては簿記論や財務諸表論と同程度からやや下くらいの高い評価をしてもらえる事も多いですからね。

関連:簿記1級のメリットと評価

税理士試験と比べても日商簿記1級のメリットは大きいので、
まずは日商1級の取得を目指す事をおすすめします♪

仕事柄色んな税理士の先生のプロフィールを拝見しているのですが、日商1級を持っている人がほとんどなので、やはり王道は日商1級から取ることだと感じています(^^)

そして、これは特に日商1級の取得から税理士を目指している人向けなんですが、日商1級合格レベルでも簿記論・財務諸表論の独学は無理と言っていいほど厳しいので、

日商1級の学習は費用面も安く、かつ最短で合格する為に独学の教材にWeb講義が付いていて内容が充実しているTACの「独学道場」がおすすめです。

関連:日商簿記1級独学の強い味方、TAC『独学道場』の内容と評判は?

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