本ページはプロモーションが含まれています

資本準備金とは?計上するメリットと資本金との違いは?

資本準備金とは?

資本準備金とは、株式発行により株主から調達した資金のうち、資本金に組み入れなかった金額です。

分かりやすく言えば、資本金の弟分みたいな勘定科目ですね。

会社が株式を発行し、それを株主がお金を払い株式を取得します。

会社側は、株主から受け取った資金を「資本金」としますが、そのうち2分の1までを資本準備金として計上することができます。

なぜ、「資本金」と「資本準備金」を分ける必要があるのか、その役割は主に2つです。

  • 資本準備金は、取り崩す(減資)の手続きが比較的簡単
  • 資本金に全額計上するよりも、税制上有利になる場合がある

資本準備金を理解するには、まず資本金を理解する必要があるので、あまり分からないという方はこちらの記事を参考にしてください。

関連:資本金とは?金額の大小で会社の価値は判断できない?!

資本金と税金の優遇に関して具体的に知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

参考:法人税の資本金には超えられない壁がある?|マネーフォワード

資本準備金とは

資本準備金は、資本金と同じく「株式」発行時に株主から払い込まれた金額が計上されます。

株主から出資してもらったお金のうち、資本金に組み入れる前の「準備金」というわけです。

貸借対照表の純資産の部「株主資本」に資本準備金は計上されます。

なぜ、資本準備金を計上するの?

会社が増資(株式発行)を行う時に資本準備金を計上せず、全額を資本金に計上してしまうと、以下のようなデメリットがあります。

  • 赤字になった場合、取り崩しにくい
  • 税法上の優遇が受けられなくなる場合がある

会社の資本金の金額によって法人税などの税率が変わります。また、万が一資本金を減資する場合はかなり面倒な手続きが必要です。

もちろん、資本金を増やす事で得られるメリットもあるのですが、
「株式発行(増資)で資金を調達しつつ、資本金をあまり増やしたくない」と考える経営者もいます。

その唯一の方法が、「資本準備金の計上」となります。

会社法では、やや回りくどい言い方ですが、株式の発行に際に株主から払込みされた金額の、2分の1まで資本準備金として計上することができると定められています。

会社法第445条

  1. 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
  2. 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
  3. 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。

資本準備金は増資の時に増やす事ができる

会社が株式を「発行・増資」すると、資本金や資本準備金が増えます。

会社設立後に新たに株式を発行し、増資をするとします。
例えば、20株を1株当たり1,000円で発行し、その全ての株主が見つかり、当座預金に払い込みがされた場合

その2分の1の金額を資本準備金として計上する場合の仕訳はこうです。

借方金額貸方金額
当座預金20,000資本金
資本準備金
10,000
10,000

簿記1級でよく出てくる仕訳ですが、普通の中小企業ではこの仕訳を入力する機会はほぼないと思います。

資本金と資本準備金の違い

資本準備金を理解するには、まずは資本金をしっかり理解した上で、両者の違いを把握する必要があります。

関連:資本金とは?

資本金は会社の規模を表し、信用に影響する

資本金は、登記や会社概要、求人票など様々な書類に情報が載ります。
それはつまり、会社の外部の人間、第3者がいつでも確認できる事を表しています。

だから万が一資本金が減ってしまうと、会社の信用に影響を及ぼしかねませんよね?

最近では、東芝が資本金を取り崩す「減資」のニュースが大きく取り上げられました。
会社の利害関係者にとって、資本金を取り崩す「減資」はそれほどインパクトのある重大ニュースなのです。

参考:日本経済新聞「東芝、単独3000億円の減資を発表 財務健全化めざす」

取り崩す手続き(減資)の違い

資本金を取り崩す「減資」は債権者保護手続が必要ですし、場合によっては株主総会で3分の2以上の賛成が必要な「特別決議」が必要となるなど、手続きが非常に面倒です。

一方、資本準備金を取り崩すのであれば、株主総会で半数以上の賛成が必要となる「普通決議」のみで、欠損を補填する範囲内であれば債権者保護手が不要となります。

資本金の減少準備金の減少
株主総会特別決議が必要。
但し、欠損金の範囲内の減資は、普通決議で可能。
普通決議で可能。
債権者保護手続き必要欠損金の範囲内の場合は、省略可能。

参考:あすな会計事務所「減資」

つまり、

  • 資本金の減資は手続きが非常に面倒
  • 資本準備金の減資は手続きが比較的ラク

「資本準備金」と「資本金」はどちらも株主から払い込まれた金額(科目)ですが、計上の仕方によって取り崩す時の手続きが変わってきます。

増資時、2分の1を資本準備金に計上するメリット

資本準備金を計上するもう一つのメリットは、税制上有利になる場合があることです。

資本金が小さい企業は、資本金の大きな大企業よりも税金の面では優遇されます^^

具体的には、1,000万円、3,000万円、1億円と段階的に、資本金が大きい企業ほど税率の優遇・メリットが少なくなり、たくさん税金を納めることになります。

資本金がたった50万円違うだけで税金が高くなる

参考:AllAbout「資本金でこんなに変わる税金」

こちらの記事にもあるように、資本金が1,000万円や3,000万円を超えるか否かで、納めるべき税金が変わってきます。

逆に言えば、減資をすれば節税することもできるようですが、前述のとおり資本金の減資は手続きが非常に面倒。

だから、増資時に2分の1を資本準備金に計上するメリットは大きいと考える経営者も多いです(^^)

資本金と資本準備金の違いまとめ

  • 資本準備金は、資本金と同様、株主から調達した資金である
  • 減資の手続きが比較的簡単
  • 全額資本金に計上するよりも、税制上有利になる場合がある

資本準備金はこのような特徴となっております。

貸借対照表の純資産の部「株主資本」の勘定科目は、普段私たちの生活においてあまり馴染みのない科目ですが、会社にとってすごく重要な科目です。

簿記1級では株主資本等変動計算書の作成や、仕訳の問題などで「資本準備金」が出てきますよね。
頭の片隅に置いておくと、仕訳のイメージもしやすく、今後の学習がちょっぴりラクになるかもしれません♪

2 Comments

税制上有利になる場合がある、とのことですが、税制上の各種優遇措置や住民税均等割は「資本金」の額ではなく、「資本金等の額」(おおまかにいうと資本金、資本準備金、その他資本剰余金などの合計額)で判定する場合がほとんどですので、あたかも資本準備金に組み入れることによって資本金を小さく計上すれば税制上の各種優遇措置が受けられるかのように誤認させる記事内容となっていることに関し疑義を感じています。
もちろん、減資によって「資本金等の額」が小さくなれば税制上の各種優遇措置が受けられるようになることはあり得ますので、減資しやすいことのメリットはあるかと思いますが。

返信する
管理人

コメントありがとうございます!

おっしゃる通り、住民税の均等割については、資本金等によって決まるのですが、3,000万円と1億円の壁については資本金で決まるようなので、「税制上有利」と書いたのですが、わかりにくい表現だったかもしれません・・。

誤解を招かぬよう、「資本金と税金」に関してもっと詳しい記事を、目次の上にリンクを貼りました。

私の勉強不足で不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
ご指摘本当にありがとうございます。

返信する

管理人 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です